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基調講演

 

大田友一(筑波大学)

 

「Perceptually Correct と Physically Correct - 自由視点映像・複合現実感におけるモデル表現 -」

 

コンピュータビジョンとコンピュータグラフィックスの融合分野として、自由視点映像や複合現実感が注目されるようになって約15年になる。 幾何的形状、表面反射特性、光源環境などを可能な限り正確に表現したモデル、すなわち「物理的に正しいモデル(Physically Correct Model)」を、コンピュータ内部に構築し、臨場感にあふれた写実的な映像を生成するコンピュータグラフィックスは、我々、コンピュータビジョンの研究者にとって、その処理結果がアピーリングであるという点で、魅力的な隣接分野であった。 画像や映像に記録されている情報を手がかりに、幾何的形状、表面反射特性、光源環境を復元し、シーンの「物理的に正しいモデル」の構築を目指すコンピュータビジョンにとって、その成果をコンピュータグラフィックスで可視化してアピールできる自由視点映像や複合現実感の分野への展開は、合理的な選択であったと言えよう。
一方、コンピュータビジョンとコンピュータグラフィックスの接点を「物理的に正しいモデル」に置くことの技術的な難しさも、徐々に認識されつつある。自由視点映像や複合現実感が対象とする現実の世界の「物理的に正しいモデル」を、コンピュータビジョンにより正確に構築すること自体が容易ではなく、結果として得られた「物理的に正しいとは言い難いモデル」から生成される映像は、テレビジョンの画質に慣れた眼を満足させるものではない。
自由視点映像や複合現実感を「見る」ユーザの立場からは、コンピュータ内部に構築されるモデルが何であれ、見た目に正しい映像が生成・提示されればよい。このように感覚的に正しい映像を生成するのに必要十分な機能を持つモデル表現を「感覚的に正しいモデル(Perceptually Correct Model)」と呼ぼう。 「感覚的に正しいモデル」は、見た目に正しい映像を生成できる機能を損なわない範囲で「物理的に正しいモデル」を簡素化したものであるが、その分、モデルの記述能力は小さい。しかし、画像や映像を入力としてモデルを構築し、そのモデルを用いて映像を生成するというプロセス全体を考えると、簡素化したモデルの方が有利な場合もある。すなわち、ノイズや画像処理エラーによって、構築したモデルが劣化する度合いは、簡素化したモデルの方が小さく、その結果、最終的に生成される映像の劣化も小さくなる。
本講演では、我々が最近行った自由視点映像におけるモデル表現法についてのシステマティックな比較実験の結果を紹介しながら、自由視点映像や複合現実感におけるモデル表現について考察する。

 

略歴

1977年京都大大学院博士課程了.京都大学情報工学科助手,筑波大学電子・情報工学系講師,カーネギーメロン大学計算機科学科客員研究員,筑波大学助教授を経て,1992年同教授. 2004年同大学院システム情報工学研究科教授. 2009年より、同研究科研究科長.工博. コンピュータビジョン,視覚情報メディア,複合現実感の研究に従事. 1995-1996年度 パターン認識・(メディア)理解研究専門委員長. 2008-2009年度 電子情報通信学会理事(ISS次期会長・会長). 2009年度日本バーチャルリアリティ学会論文賞受賞. パターン認識国際連盟フェロー, 電子情報通信学会フェロー,情報処理学会 フェロー.

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